息継ぎ

黒板の数式をノートに写す

黒板を見ては、下を向きノートに数式を写す。

写し終わったら、再び顔を上げ、また黒板の式を見る。

そしてまた下を向き、式を写す。

まるで泳いでいるときの息継ぎのよう。

隣を見ると、頭を上げては下げ、下げては上げる苦しげな表情である。

数式に溺れそうだ。

小さなノートにいっぱいに数学の海の水を汲む。

これを飲み干すのも、また辛いのだ。

飲んでも飲んでも無くならない。眼からポタポタ漏れてくる。